包み足(つつみあし)は、2本のローソク足の組み合わせで、後の足が前の足をすっぽり包み込む形のことです。英語ではエンゴルフィング(Engulfing)と呼ばれ、日本の酒田五法などのローソク足分析では「包み線」「抱き線」とも呼ばれてきました。この記事では、陽の包み足・陰の包み足の形と一般的な見方、似た名前の「はらみ足」との違い、だましの注意点を整理します。紹介するのは一般的な見方であり、特定の銘柄や通貨ペアの売買をすすめたり、値動きを予想したりするものではありません。

この記事で分かること

  • 包み足の定義(実体で見る場合と、高値・安値で見る場合)
  • 陽の包み足・陰の包み足の違い
  • はらみ足との違い
  • 株とFXでの見え方の違い
  • だましと注意点、他の分析との組み合わせ方

包み足の仕組みと見た目の特徴

包み足は、2本目の足が1本目の足を覆うように大きく動いた形です。ローソク足を欧米に広く紹介したスティーブ・ニソン氏の著書『Japanese Candlestick Charting Techniques』では、2本目の実体(始値と終値の間の太い部分)が1本目の実体を包むものとして説明されています。

陽の包み足と陰の包み足

種類形一般的な解釈
陽の包み足(強気の包み足)小さめの陰線の次に、その実体を包む大きな陽線売りが優勢だった流れから、買いが一気に上回った
陰の包み足(弱気の包み足)小さめの陽線の次に、その実体を包む大きな陰線買いが優勢だった流れから、売りが一気に上回った

仮に、1本目が始値1,000円・終値990円の陰線、2本目が始値985円・終値1,010円の陽線だったとします。2本目の実体(985〜1,010円)が1本目の実体(990〜1,000円)を包んでいるので、陽の包み足にあたります(数字は説明のための仮の例です)。

実体で見るか、高値・安値で見るか

注意したいのは、包み足の判定方法が解説によって異なることです。伝統的なローソク足分析では実体どうしを比べ、ヒゲまで包む必要はないとされます。一方、FXなどのプライスアクションの解説では、高値・安値の値幅全体で比べる「アウトサイドバー」とほぼ同じ意味で「包み足」と呼ぶこともあります。どちらの定義で話しているのかを確認しておくと混乱しにくくなります。

一般的な見方・使われ方

包み足は、勢いが入れ替わった可能性を示す転換のサインとして紹介されることが多いです。特に次のような条件がそろうと注目されやすくなります。

  • それまでに一定の上昇(または下落)が続いた後に出ている
  • サポートラインやレジスタンスラインなど、意識されやすい価格帯の近くで出ている
  • 2本目の足が1本目に比べてはっきり大きい

逆に、方向感のない横ばいの中で出た包み足は、単なる値動きの振れにすぎないことも多いとされます。また、トレンドの方向に沿った包み足を「流れが続くサイン」と見る使い方もあります。

はらみ足との違い

包み足とよく比べられるのがはらみ足(はらみ線)です。はらみ足は包み足と逆で、2本目の足が1本目の足の内側に収まる形です。「はらみ」は妊娠を意味する言葉で、大きな1本目が小さな2本目をお腹に抱えているように見えることに由来します。

項目包み足はらみ足
形2本目が1本目を包む2本目が1本目の内側に収まる
2本目の大きさ大きい小さい
表すとされる状況勢いの入れ替わり勢いの一服・迷い

はらみ足を高値・安値の値幅で判定したものは、プライスアクションでは「インサイドバー」と呼ばれます。詳しくは「インサイドバー(はらみ足)とは」の記事で解説しています。

株とFXでの使い方の違い

  • 窓(ギャップ):伝統的な解説では、株の日足を例に、陽の包み足なら2本目が1本目の終値より下から始まり、1本目の始値より上で終わる形がよく挙げられます。FXは平日ほぼ24時間取引されるため、2本目の始値が1本目の終値とほぼ同じになりやすく、実体だけで包むかどうかの判定が株と変わることがあります。
  • 日足の区切り:FXでは日足の締めの時刻が業者によって異なる場合があり、包み足に見えるかどうかがチャートによって変わることがあります。
  • 出来高:株では、2本目の足で出来高が増えているかどうかを参考にする見方があります。FXでは全体の出来高は把握しにくいです。

弱点・だましと注意点

  • 出た後に元の流れへ戻る:包み足が出ても、次の足で反対方向に動き、元のトレンドが続くことはよくあります。
  • 2本目が大きいほど損失の幅も大きくなりやすい:包み足の反対側の端を損失確定の目安にする解説がありますが、2本目が大きいとその幅も広がります。
  • 発表直後の値動き:決算や経済指標の発表で一時的に大きく動いた結果、包み足に見えるだけのこともあります。
  • 定義が揺れる:実体で見るか、値幅で見るかで、同じチャートでも判定が変わります。

包み足について、どの市場でも通用する確かな勝率が示されているわけではありません。テクニカル分析で必ず利益が出るわけではなく、損失の可能性は常にあります。特にFXは証拠金以上の額の取引ができる仕組みのため、損失を確定させる決済(ロスカット)の考え方や取引金額をあらかじめ決めておくことが大切です。

他の分析との組み合わせ方

包み足は、出た場所(サポート・レジスタンス)やトレンドの向きとあわせて見るのが基本です。上位の時間足で大きな流れを確認したり、移動平均線との位置関係を見たりする方法もあります。1本の足の形で見る「ピンバーとは」の記事や、全体の考え方をまとめた「プライスアクションとは」の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

ヒゲまで包んでいないと包み足ではありませんか?

伝統的なローソク足分析では実体どうしを比べるため、ヒゲまで包む必要はないとされます。値幅全体を包むものはアウトサイドバーと呼んで区別することもあります。

1本目と2本目の色が同じでも包み足ですか?

一般的な包み足は、1本目と2本目の色が逆(陰線の後に陽線、陽線の後に陰線)の形を指します。同じ色の場合は、別の形として扱われることが多いです。

包み足が出たら、すぐに流れが変わりますか?

そうとは限りません。包み足はあくまで過去の値動きの記録で、その後の値動きを約束するものではありません。

まとめ

  • 包み足は、2本目の足が1本目の足を包み込む形で、陽の包み足と陰の包み足があります。
  • 伝統的には実体どうしで判定しますが、値幅全体で見る解説もあり、定義に注意が必要です。
  • はらみ足は逆に、2本目が1本目の内側に収まる形です。
  • 出た場所やトレンドとあわせて見られますが、だましも多く、必ず勝てるサインではありません。

参考資料・出典