ボリンジャーバンドは、移動平均線の上下に「値動きの幅」を示す帯を描く指標です。帯が狭くなったり広がったりする様子から、相場が落ち着いているのか、大きく動いているのかを見ることができます。この記事では、ボリンジャーバンドとは何かを、±1σ〜3σの意味、スクイーズとエクスパンション、バンドウォークを中心にわかりやすく説明します。特定の銘柄や通貨ペアの売買をすすめたり、値動きを予想したりするものではありません。
この記事で分かること
- ボリンジャーバンドの仕組みと計算式
- ±1σ・±2σ・±3σの意味と、「95%」の数字の注意点
- スクイーズ・エクスパンション・バンドウォークの見方
- 株とFXでの違い、だましと弱点
ボリンジャーバンドの仕組みと計算方法
ボリンジャーバンドは、米国のジョン・ボリンジャー(John Bollinger)が1980年代に考案した指標です。中心の線(ミドルバンド)と、その上下の線(アッパーバンド・ロワーバンド)でできています。
| 線 | 計算式(標準設定) |
|---|---|
| ミドルバンド | 20期間の単純移動平均(SMA) |
| アッパーバンド(+2σ) | ミドルバンド + 2 × 20期間の標準偏差 |
| ロワーバンド(−2σ) | ミドルバンド − 2 × 20期間の標準偏差 |
σ(シグマ)は標準偏差のことで、「価格が平均からどれくらい散らばっているか」を表す数字です。値動きが大きいとσが大きくなり帯は広がり、値動きが小さいとσが小さくなり帯は狭まります。
仮の数字で見てみる
仮に、20日間の終値の平均が1,000円、標準偏差が20円だったとします(説明用の架空の数字です)。+2σは1,040円、−2σは960円です。+1σは1,020円、+3σは1,060円となります。
±1σ〜3σと「95%」の注意点
多くのチャートツールでは、±1σ・±2σ・±3σの線を表示できます。統計学では、データが正規分布に従う場合、平均±1σの範囲に約68%、±2σに約95%、±3σに約99.7%が収まるとされ、ボリンジャーバンドの解説でもこの数字がよく紹介されます。
しかし、ボリンジャー自身は、価格の分布は正規分布ではなく、統計的な前提を置くべきではないと述べています。標準設定でも実際にバンド内に収まるのは95%ではなく90%程度だった、という説明もしています。「±2σの外にはほとんど出ない」と考えるのは危険です。
なお、標準設定の「20期間・2σ」もあくまで初期値で、市場や目的によって適した設定は異なるとされています。
一般的な見方・使われ方
バンドは「相対的な高い・安い」の目安
ボリンジャーは、ボリンジャーバンドを「相対的に高い・安い」を定義するものと説明しています。アッパーバンド付近は相対的に高い、ロワーバンド付近は相対的に安い、という意味です。ただし、アッパーバンドに触れたこと自体は売りのシグナルではなく、ロワーバンドに触れたこと自体も買いのシグナルではないとも明言しています。
スクイーズとエクスパンション
- スクイーズ:帯の幅がぎゅっと狭くなった状態。値動きが小さく、相場が落ち着いていることを示します。その後、大きな値動きが起きるきっかけになることがあると考えられています。
- エクスパンション:帯の幅が急に広がる状態。値動きが大きくなり、価格が一方向に動き出したことを示すと読まれます。
スクイーズのあと上下どちらに動くかは、バンドだけでは分かりません。帯の幅を数値化した「バンド幅(BandWidth=(アッパー−ロワー)÷ミドル)」で狭さを確認する方法もあります。
バンドウォーク
強いトレンドが出ると、価格がアッパーバンド(またはロワーバンド)に沿って動き続けることがあります。これをバンドウォークといいます。ボリンジャーも、トレンド相場では価格がバンドに沿って上昇・下落していくと説明しています。この状態で「+2σに触れたから上がりすぎ」と判断して逆方向の取引をすると、損失が膨らむおそれがあります。
株とFXでの使い方の違い
- 株:決算発表など個別の材料で値動きの幅が急に変わり、バンドが一気に広がることがあります。取引時間外のニュースで始値が大きく飛ぶ(窓が開く)と、バンドの外側から始まることもあります。
- FX:平日ほぼ24時間取引されるため、時間帯によって値動きの大きさが変わり、短い足では帯の幅も時間帯で変化しやすくなります。レバレッジをかけるため、だましにあったときの損失が大きくなりやすい点に注意が必要です。
ボリンジャーは、ボリンジャーバンドは株・指数・為替・商品などほとんどの金融商品、5分足から週足まで幅広い時間軸に使えるとしていますが、十分な取引がある足で使うことが前提とされています。
弱点・だましと注意点
- バンドの外は「反転」とは限らない:ボリンジャーは、バンドの外側で引けた場合は、まず反転ではなく継続のサインになりうると述べています。
- スクイーズの方向は分からない:いったん一方向に抜けたように見えて、すぐ逆方向に動く「だまし」もあります。
- 過去の値動きから計算している:突然のニュースによる急変動は事前に反映されません。
- 統計の数字を過信しない:前述のとおり、±2σの外に出る確率を正確に示すものではありません。
ボリンジャーバンドを使っても必ず利益が出るわけではなく、損失が出る可能性があります。FXや信用取引のようにレバレッジをかける取引では、預けた資金以上の損失が出ることもあります。
他の分析との組み合わせ方
ボリンジャーは、ボリンジャーバンドを他の指標と組み合わせること、そしてその際は互いに似ていない指標を選ぶことを勧めています。たとえば、勢いを見るRSI、トレンドの変化を見るMACD、意識されやすい価格帯を示すサポートライン・レジスタンスラインなどと合わせて、多角的に相場の状態を確かめる使い方があります。それぞれの考え方は、このシリーズの「RSI」「MACD」「サポートライン・レジスタンスライン」の記事で解説しています。
よくある質問
±2σに触れたら反転しますか?
必ず反転するわけではありません。バンドウォークのように、触れたまま同じ方向に進むこともあります。
±1σや±3σは何に使うのですか?
±1σは値動きの中心的な範囲、±3σは大きく外れた水準の目安として表示されることがあります。どの線を重視するかは人それぞれで、決まった使い方はありません。
期間は20以外でもよいですか?
変えることは可能です。ボリンジャーは、期間を長くするなら標準偏差の倍率も少し大きく、短くするなら少し小さくすることを目安として示しています。
まとめ
- ボリンジャーバンドは20期間SMAと、その上下±2σの帯で値動きの幅を表す
- 帯が狭まるスクイーズ、広がるエクスパンション、バンドに沿うバンドウォークが代表的な見方
- バンドへの接触は売買シグナルそのものではなく、統計の数字も過信しない
- だましや損失の可能性があり、他の指標と組み合わせて慎重に見ることが大切