インサイドバーは、プライスアクション(ローソク足の値動きそのものを読む考え方)でよく使われる2本の足の組み合わせです。日本のローソク足分析でいう「はらみ足(はらみ線)」に近い形で、相場の勢いが一時的に落ち着いた状態を表すとされます。この記事では、インサイドバーの定義、はらみ足との細かな違い、ブレイク(値幅の外へ抜けること)の一般的な見方、そしてだましの注意点を整理します。紹介するのは一般的な見方の説明であり、特定の銘柄や通貨ペアの売買をすすめたり、値動きを予想したりするものではありません。

この記事で分かること

  • インサイドバーとマザーバーの定義
  • はらみ足(はらみ線)との違い
  • ブレイクの一般的な見方
  • 株とFXでの見え方の違い
  • だまし(偽のブレイク)と注意点

インサイドバーの仕組みと見た目の特徴

インサイドバーは、2本目の足の高値と安値が、どちらも1本目の足の高値と安値の内側に収まっている形です。外側にある1本目の足は「マザーバー(親足)」と呼ばれます。

  • 2本目の高値 < 1本目(マザーバー)の高値
  • 2本目の安値 > 1本目(マザーバー)の安値

仮に、1本目の高値が1,050円・安値が980円、2本目の高値が1,030円・安値が1,000円だったとします。2本目の値幅(1,000〜1,030円)がすべて1本目の値幅(980〜1,050円)の内側にあるので、インサイドバーにあたります(数字は説明のための仮の例です)。高値や安値が1本目と同じ値になった場合の扱いは、解説によって分かれます。

はらみ足(はらみ線)との違い

はらみ足は、ローソク足を欧米に紹介したスティーブ・ニソン氏の著書などで「大きな実体の中に、小さな実体が収まる形」として説明されています。つまり伝統的なはらみ足は実体どうしを比べ、インサイドバーは高値・安値の値幅全体で比べる点が異なります。

項目インサイドバーはらみ足(伝統的な定義)
比べる範囲高値・安値(ヒゲを含む)実体(始値と終値の間)
色の条件特にないことが多い1本目と2本目の色が逆の形がよく例に挙げられる
よく使われる文脈FXなどのプライスアクション酒田五法など日本のローソク足分析

実際には両者がほぼ同じ意味で使われることも多いため、読んでいる解説がどちらの定義を使っているか確認するとよいでしょう。逆に、2本目が1本目を包む形は包み足と呼ばれます(詳しくは「包み足(エンゴルフィング)とは」の記事)。

一般的な見方:ブレイクの見方

インサイドバーは、2本目の値動きが1本目より小さいことから、勢いの一服・迷い・エネルギーの蓄積を表すとよく説明されます。そのため、注目されるのは「マザーバーの高値か安値のどちらを先に抜けるか」です。

  • マザーバーの高値を上に抜けた場合:上方向への動きが再開したと見る考え方があります。
  • マザーバーの安値を下に抜けた場合:下方向への動きが再開したと見る考え方があります。
  • どちらにも抜けない場合:インサイドバーが何本も続き、値幅がさらに狭まることがあります。

一般的には、トレンドの途中で出たインサイドバーは流れが続く前の一休みとして、サポートラインやレジスタンスラインの近くで出たものは転換の前触れとして見られることがあります。ただし、どちらに抜けるかを事前に知る方法はありません。

株とFXでの使い方の違い

  • 窓(ギャップ):日本株では翌日の始値がマザーバーの値幅を飛び越えて始まることがあり、ブレイクの判定が「寄り付きの時点で決まっている」状況が起こりえます。FXは平日ほぼ24時間取引されるため、窓は週明けなどに限られやすいです。
  • 日足の区切り:FXでは日足の締めの時刻が業者によって異なる場合があり、ある業者ではインサイドバーでも、別の業者ではそうならないことがあります。
  • 発表前後:決算発表や重要な経済指標の前は値動きが小さくなりやすく、インサイドバーが出やすい一方、発表直後には上下に大きく振れることがあります。

弱点・だましと注意点

  • 偽のブレイク:マザーバーの高値を一度上に抜けた後、すぐに値幅の中へ戻り、逆に安値を割っていくことがあります。プライスアクションではこうした動きを「フェイクアウト」「フェイキー」と呼ぶこともあります。
  • よく出る形である:インサイドバーは特に短い時間足で頻繁に現れるため、意味の薄いものが多く含まれます。
  • マザーバーが大きいと幅が広がる:マザーバーの反対側を損失確定の目安にする解説がありますが、マザーバーが大きいとその幅も広がります。
  • 確定前は判断できない:2本目の足が確定するまで、インサイドバーかどうかは分かりません。

インサイドバーについて、どの市場でも通用する確かな勝率が示されているわけではありません。テクニカル分析で必ず利益が出るわけではなく、損失の可能性は常にあります。特にFXは証拠金以上の額の取引ができる仕組みのため、損失を確定させる決済(ロスカット)の考え方や取引金額をあらかじめ決めておくことが大切です。

他の分析との組み合わせ方

インサイドバーは単独で使うより、トレンドの向きや出た場所とあわせて見るのが一般的です。上位の時間足で大きな流れを確認する、移動平均線の向きを見る、といった方法があります。また、インサイドバーのマザーバー自体がピンバーになっている場合など、形を組み合わせて見る解説もあります(「ピンバーとは」の記事を参照)。全体の考え方は「プライスアクションとは」の記事にまとめています。

よくある質問

インサイドバーが何本も続くのはどういう状態ですか?

値動きがさらに小さくなり、売り手と買い手が様子見をしている状態と説明されることが多いです。その後に大きく動くこともあれば、そのまま横ばいが続くこともあります。

インサイドバーは上と下どちらに抜けやすいですか?

どちらに抜けやすいと決まっているわけではありません。トレンドの方向に抜けることが多いとする解説もありますが、反対に抜けることも珍しくありません。

色(陽線・陰線)は関係ありますか?

インサイドバーでは色を条件にしないことが多いです。伝統的なはらみ足では、1本目と2本目の色が逆の形がよく例に挙げられます。

まとめ

  • インサイドバーは、2本目の高値・安値が1本目(マザーバー)の値幅の内側に収まる形です。
  • 伝統的なはらみ足は実体で比べ、インサイドバーは値幅全体で比べる点が異なります。
  • 勢いの一服を表すとされ、マザーバーの高値・安値のどちらを抜けるかが注目されます。
  • 偽のブレイクは多く、必ず勝てるサインではありません。損失の可能性を前提に考えましょう。

参考資料・出典