この記事で分かること
「iDeCo(イデコ)って何?」「NISAと何が違うの?」という人向けに、iDeCoの仕組みをできるだけ簡単にまとめました。この記事を読むと、次のことが分かります。
- iDeCoをひと言でいうと何なのか
- 税金面のメリット(掛金の所得控除・運用益の非課税・受け取り時の控除)
- 加入できる人と掛金の上限、2026年12月に予定されている制度改正
- 60歳まで引き出せないこと、元本割れのおそれなどの注意点
- 加入までの流れと、よくある疑問
なお、この記事は制度の仕組みを説明するもので、特定の金融機関や運用商品をすすめるものではありません。内容は2026年10月時点の公式情報にもとづいています。
iDeCoとは?簡単にいうと「自分で積み立てて自分で運用する年金」
iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称です。簡単にいうと、自分で決めた掛金を毎月(または年単位で)積み立て、自分で選んだ商品で運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金です。国民年金や厚生年金といった公的年金とは別に、任意で上乗せする制度という位置づけです。
法律では、個人が拠出した資金を「自己の責任において運用の指図を行い」、高齢期にその結果にもとづいた給付を受けられるようにして、公的年金とあわせて老後の所得確保を支援することが目的とされています(確定拠出年金法 第一条)。また、個人型年金は国民年金基金連合会が実施する年金制度と定められています(確定拠出年金法 第二条)。
「確定拠出」とは、出すお金(掛金)は決まっているが、受け取る金額は決まっていないという意味です。受け取る額は運用成績によって増えることも減ることもあります。
お金の流れ(3ステップ)
- 拠出する:月5,000円以上、1,000円単位で掛金を決めて払い込む
- 運用する:金融機関(運営管理機関)が用意した定期預金・保険・投資信託などから、自分で商品と配分を選ぶ
- 受け取る:原則60歳以降に、一時金・年金、またはその組み合わせで受け取る
iDeCoのメリット:3つの税制優遇
iDeCoは老後の資産づくりを目的とした制度であるため、掛金・運用益・受け取りの3つの段階で税制上の優遇があります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 掛金を払うとき | 掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になり、所得税・住民税が軽くなる |
| 運用しているとき | 通常は運用益に約20%(20.315%)の税金がかかるが、iDeCoの中では非課税で再投資される |
| 受け取るとき | 一時金なら「退職所得控除」、年金なら「公的年金等控除」の対象になる |
iDeCo公式サイトでは、毎月の掛金が1万円で所得税10%・住民税10%の人の場合、年間2.4万円の税金が軽くなる例が示されています。ただし、所得がなく税金を払っていない人は、所得控除のメリットを受けられません。また、控除されるのは加入者本人の所得からだけで、配偶者の所得からは控除されません。
受け取り時の控除は「税金がかからない」という意味ではなく、控除額を超えた部分には課税されることがあります。退職金など他の受け取りとの関係でも税額は変わるため、詳しくは国税庁の情報や税務署で確認してください。
加入できる人・掛金の上限・期間
加入できる人
基本的に、公的年金の被保険者であれば加入できます(確定拠出年金法 第六十二条)。区分は次のとおりです。
| 区分 | 主な対象 |
|---|---|
| 第1号加入者 | 20歳以上60歳未満の自営業者・フリーランス・学生など |
| 第2号加入者 | 会社員・公務員など厚生年金の被保険者 |
| 第3号加入者 | 会社員・公務員に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者 |
| 第4号加入者 | 国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の人など |
ただし、国民年金保険料の納付を免除されている人(一部免除を含む)、農業者年金の被保険者、iDeCoの老齢給付金を受け取った人、老齢基礎年金を繰り上げ受給している人などは加入できません。勤め先の企業型確定拠出年金の内容によって加入できない場合もあります。
掛金の上限(拠出限度額)
1年間の掛金の総額には、加入者の区分や勤め先の企業年金の有無などに応じた上限があります(確定拠出年金法 第六十九条)。厚生労働省によると、2025年の法改正により、2026年12月1日から拠出限度額が引き上げられる予定です。
- 第2号加入者:企業年金の有無による差をなくし、企業年金と共通の限度額として月額6.2万円に一本化(企業年金等がある人は、その掛金と合計して6.2万円が上限)
- 第1号加入者:国民年金基金との共通の限度額として月額7.5万円
自分の上限は区分や勤め先の制度で変わるので、iDeCo公式サイトや勤め先で確認しましょう。掛金額は年1回(12月分〜翌年11月分の間)変更でき、拠出を止めることもできます。
何歳まで加入できる?
2026年10月時点では、掛金は原則65歳になるまで拠出できます。2026年12月1日施行予定の改正では、一定の要件を満たす60歳以上70歳未満の人も加入・継続拠出ができるようになる予定です。受け取りは原則60歳からで、受け取り開始は75歳になるまでの間で選べます。
注意点:60歳まで引き出せない・元本割れのおそれ
原則60歳まで引き出せない
iDeCoの最大の注意点は、原則として60歳になるまで資産を引き出せないことです。教育費や住宅購入など、途中で必要になるお金をiDeCoで準備することはできません。また、60歳から受け取るには通算加入者等期間が10年以上必要で、短い場合は受け取れる年齢が後ろにずれます。
元本割れのおそれがある
受け取る額は運用成績によって変わり、投資信託などで運用した場合は、受け取り額が払い込んだ掛金の合計を下回る(元本割れする)可能性があります。定期預金などの元本確保型の商品もありますが、利息より手数料のほうが大きくなる場合もあります。将来の値動きは誰にも予測できないため、リスクとリターンの関係を理解したうえで、自分で判断する必要があります。
手数料がかかる
加入時や毎月の口座管理などに手数料がかかり、金額は金融機関によって異なります。掛金が少ないほど、手数料の負担は相対的に大きくなります。
iDeCoの始め方の手順
- 自分の加入区分と上限を確認する:国民年金の種別と、勤め先の企業年金の有無を確かめます。
- 金融機関(運営管理機関)を1社選ぶ:iDeCo公式サイトでは、取り扱う商品、サービス内容、手数料の3つを比べることが勧められています(確定拠出年金法 第六十五条)。
- 加入を申し込む:選んだ金融機関で申込書類を取り寄せて提出します。会社員の場合は、勤め先に証明してもらう書類が必要になることがあります。
- 掛金額と運用商品を決める:60歳まで引き出せないことを前提に、無理なく続けられる金額にします。商品は自分で選ぶ必要があり、金融機関が特定の商品をすすめることはできません。
- 年末調整・確定申告で所得控除を受ける:払込方法によって手続きが違うので確認しましょう。
よくある質問
NISAとiDeCoの違いは?
NISAは投資で得た運用益(売却益・配当など)が非課税になる制度で、18歳以上(2027年1月からは、つみたて投資枠は0〜17歳も対象になる予定)が利用でき、成人の場合は保有商品を売却して資金を使うことができます。一方iDeCoは、運用益の非課税に加えて掛金が所得控除になりますが、原則60歳まで引き出せません。目的(いつ使うお金か)に合わせて考えることが大切です。
途中でやめられますか?
掛金の拠出はいつでも止められます。ただし、それまでの資産は引き出せず、運用を続ける「運用指図者」になります(確定拠出年金法 第六十四条)。運用指図者の期間も手数料がかかる点に注意しましょう。
転職や退職をしたらどうなりますか?
会社員から自営業や専業主婦(夫)になっても、加入区分を変える手続きをしてiDeCoを続けられます。転職先で企業型確定拠出年金に加入する場合は、規約の内容を確認しましょう。
まとめ
iDeCoは、簡単にいえば自分で積み立てて自分で運用し、原則60歳以降に受け取る年金です。掛金の所得控除・運用益の非課税・受け取り時の控除という税制上のメリットがある一方、60歳まで引き出せないこと、運用によっては元本割れすること、手数料がかかることも理解しておく必要があります。2026年12月には拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の拡大が予定されているので、加入を考える際は、厚生労働省やiDeCo公式サイトで最新の情報を確認したうえで、自分の状況に合わせて判断しましょう。