この記事で分かること

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業がIoTやロボットなどの省力化設備を入れる費用を支援する国の補助金です。「カタログ注文型」と「一般型」の2つの類型があり、申請できる時期の決まり方がまったく違います。この記事では、2026年10月時点の公式サイトと公募要領をもとに、次の点を整理します。

  • カタログ注文型と一般型の違い
  • それぞれの補助率・補助上限額と基本要件
  • 申請スケジュール(一般型は第9回公募が予定)
  • 申請の流れと、公式資料が挙げる注意点

補助金の概要(目的・実施機関)

中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等の省力化投資を支援し、付加価値額や生産性の向上を通じて賃上げにつなげることが目的です。実施機関は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で、所管は中小企業庁です。

項目カタログ注文型一般型
対象製品カタログに登録された省力化効果のある汎用製品個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築
補助上限額最大1,500万円最大1億円
申請の時期随時受付(2027年3月末頃まで)公募回制(年3〜4回予定)
申請方法販売事業者と共同で申請申請者自身が電子申請

対象になる事業者と要件

カタログ注文型

日本国内で事業を営む中小企業等で、人手不足の状態にあることなどが要件です。補助事業終了後3年間、労働生産性(付加価値額÷従業員数)を年平均成長率3.0%以上向上させる事業計画を立て、取り組む必要があります。

一般型

中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人が対象です。基本要件は次のとおりです。

  • 労働生産性の年平均成長率4.0%以上
  • 1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上(未達の場合は達成率に応じて返還)
  • 事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上(未達の場合は返還)
  • 従業員21名以上の場合、一般事業主行動計画の公表等

このほか、業務量の削減割合で示す省力化効果、投資回収期間の根拠資料、オーダーメイド設備等の導入を含む事業計画が求められます。汎用設備を単体で入れるだけの事業は対象外です。

補助率・補助上限額

カタログ注文型(2026年3月19日以降の申請)

従業員数補助上限額
5名以下500万円(750万円)
6〜20名750万円(1,000万円)
21名以上1,000万円(1,500万円)

補助率は1/2以下です。括弧内は、事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6%以上増やす計画を立てた場合の上限額です。補助額の合計が上限に達するまでは複数回申請できますが、2回目以降は累計上限(各申請時点の上限額×2)や、前回の省力化効果の報告などの追加要件があります。

一般型

従業員数補助上限額
5人以下750万円(1,000万円)
6〜20人1,500万円(2,000万円)
21〜50人3,000万円(4,000万円)
51〜100人5,000万円(6,500万円)
101人以上8,000万円(1億円)

補助率は中小企業1/2、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は2/3です。括弧内は「大幅賃上げ特例」(1人当たり給与支給総額の年平均成長率6.0%以上と、事業所内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にすること)を受けた場合の上限で、未達の場合は上乗せ分の返還があります。最低賃金近くで働く従業員が一定割合以上の事業者は「最低賃金引上げ特例」で補助率が2/3に引き上がります(小規模・再生事業者を除く)。

対象経費と対象外の経費

カタログ注文型は、カタログ登録製品の本体価格と、設置・運搬・動作確認・初期設定などの導入経費が対象です。中古品、交付決定前に購入した製品や交付決定前に発生した費用、消費税、申請代行費などは対象外です。

一般型は、機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費が対象です。交付決定前に発生した経費は、いかなる理由でも対象になりません(事前着手不可)。

申請の流れとスケジュール

カタログ注文型

  1. GビズIDプライムアカウントの取得
  2. 製品カタログから製品を選ぶ
  3. カタログ掲載の販売事業者に連絡し、共同で申請(販売事業者からの招待で申請フォームに進みます)
  4. 交付決定後に導入(実施期間は原則として交付決定日から12か月以内)
  5. 実績報告→補助金交付→3年間の効果報告

一般型

  1. GビズIDプライムアカウントの取得
  2. 事業計画書の作成、設備の選定
  3. 電子申請(採択まで3か月程度)
  4. 採択後、原則2者以上の相見積もりを取り、交付申請
  5. 交付決定後に補助事業を実施(第8回公募は交付決定日から18か月以内)
  6. 実績報告→補助金交付→5年間の効果報告

一般型の第8回公募は2026年10月16日(金)17:00に締め切られ、採択発表は2027年2月上旬の予定です。第9回公募は2026年11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に締切の予定と公式サイトで告知されています(2026年10月時点、詳細は後日発表)。なお、応募申請・交付申請中の事業者や、補助金の支払いが完了していない事業者は申請できません。

採択に向けたポイントと注意点

  • まずカタログを確認:一般型の公募要領は、申請前にカタログ注文型の製品カタログを必ず確認するよう求めています
  • 計画は自分で作る:一般型の事業計画は申請者自身が作成します。支援者がいる場合は名称と報酬を申請画面に記載する必要があります
  • 悪質な業者に注意:実際の費用とかけ離れた高額な成功報酬の請求、申請代行を主なサービスとする営業、虚偽記載の教唆などが不適切な行為の例として挙げられています
  • 不正への措置:虚偽が判明すると、採択や交付決定の取消、補助金の返還、事業者名・代表者名を含む公表などの対象になります
  • 採択=全額交付ではない:交付申請時の精査や確定検査で減額されることがあります

よくある質問

カタログ注文型はいつまで申請できますか?

2026年3月の制度改定で、受付期間は2027年3月末頃までに延長されています。

個人事業主も申請できますか?

カタログ注文型の提出書類には個人事業主向けの書類(確定申告書の控えなど)が用意されており、個人事業主も申請の対象です。業種ごとの要件は公募要領で確認してください。

採択結果はどこで確認できますか?

一般型は公式サイトで申請者名や事業計画名などが公表されます。

まとめ

手早く汎用製品を入れたいならカタログ注文型、現場に合わせた設備やシステムを組むなら一般型が候補です。一般型は第9回公募が2026年11月上旬に始まる予定のため、GビズIDの取得と事業計画の準備は早めに進めましょう。最新の要件は必ず公式サイトと公募要領で確認してください。

参考資料・出典