経済産業省の「省エネルギー投資促進支援事業」は、2026年度は令和7年度補正予算の「省エネ・非化石転換補助金」として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行しています。2026年10月時点では4次公募が2026年10月5日(月)から10月30日(金)17:00必着で行われており、本記事の執筆日(10月30日)が締切当日です。この記事では、SIIが公開している4次公募の公募要領をもとに、中小企業が工場・店舗・事務所の設備を省エネ型に更新する際に知っておきたい事業区分・補助率・申請の流れを整理します。
この記事で分かること
- 「省エネ・非化石転換補助金」と「省エネルギー投資促進支援事業」の関係
- 対象となる事業者(中小企業者等と大企業の違い)
- (Ⅰ)〜(Ⅳ)の事業区分ごとの補助率・補助金の上限額
- 空調・冷凍冷蔵設備・工作機械など対象設備の考え方
- 交付申請から補助金の支払いまでの流れと、交付決定前の発注などの注意点
補助金の概要(目的・実施機関)
省エネ・非化石転換補助金は、次の2つの補助金で構成されています。
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(財源:エネルギー対策特別会計)
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(財源:GX経済移行債)
工場・事業場で使う設備を省エネ性能の高いものに更新したり、電化や脱炭素目的の燃料転換を行ったりする事業者を支援するもので、SIIが大日本印刷株式会社との共同事業体(SIIが代表幹事)として執行します。SIIのサイトは「工場・事業場型」と「設備単位型」の2つのページに分かれており、国庫債務負担行為により工場・事業場型は最大4年、設備単位型は最大2年の複数年度事業も可能です。
対象になる事業者と要件
補助率や上限額は「中小企業者等」か「大企業・その他」かで変わります。公募要領では、中小企業者等を次のように定義しています。
- 中小企業基本法第2条に規定する中小企業者(みなし大企業を除く)
- 個人事業主、中小企業団体等
- 会社法上の会社以外の法人(医療法人、社会福祉法人、NPO法人等)で、従業員300人以下のもの
大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度で「Sクラス」または「Aクラス」に該当するなど、一定の要件を満たす場合に限り対象になります。中小企業にとっては、この要件がかからない点が大きな違いです。
申請枠・補助率・補助上限額
4次公募の事業区分は大きく4つです。中小企業が使いやすいのは、カタログから選ぶように指定設備へ更新できる(Ⅲ)設備単位型です。
| 事業区分 | 内容 | 補助率(中小企業者等) | 上限額/下限額 |
|---|---|---|---|
| (Ⅲ)設備単位型[従来枠] | SIIが基準を定めて公表した「指定設備」へ更新 | 1/3以内(設備費) | 1億円/30万円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型[メーカー強化枠] | GX要件を満たしたメーカーの指定設備へ更新 | 1/3以内(設備費) | 3億円/30万円 |
| (Ⅲ)GX設備単位型[トップ性能枠] | トップ性能基準を満たす設備の導入 | 更新1/2以内、新設1/5以内 | 3億円/30万円 |
| (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 | 化石燃料から電気等への転換を伴う指定設備への更新等 | 更新・改造1/2以内、新設1/5以内 | 3億円(電化は5億円)/30万円 |
| (Ⅰ)工場・事業場型 | オーダーメイド型設備等で工場・事業場全体の省エネを図る | 枠により1/4〜2/3以内 | 単年度15億円など/100万円 |
| (Ⅳ)エネルギー需要最適化型 | SIIに登録されたEMSを導入し運用改善 | 1/2以内 | 1億円/30万円 |
(Ⅲ)設備単位型の申請要件(省エネ要件)は、省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たすことです。(Ⅰ)工場・事業場型には先進枠・一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠があり、投資回収年数によって補助率が下がる仕組みのため、詳細は公募要領で確認してください。(Ⅳ)型は他の区分と組み合わせて申請でき、その場合はそれぞれの上限額の合計が事業全体の上限になります。
対象経費と対象外の経費
(Ⅲ)設備単位型の指定設備は、ユーティリティ設備として高効率空調(業務・産業用エアコン等)、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具、生産設備として工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシンが挙げられています。これ以外にも「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定された設備が対象になります。補助対象設備は、SIIの「『指定設備』の補助対象設備一覧」で型番ごとに確認できます。
補助対象経費は事業区分ごとに異なり、(Ⅲ)設備単位型は設備費のみです。(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型は設備費に加えて工事費も対象ですが、工事費は中小企業者等に限られます。(Ⅰ)工場・事業場型は設計費・設備費・工事費が対象です。なお、家庭向けの高効率給湯器の導入支援は、SIIが別事業(給湯省エネ2026事業など)として実施しています。
申請の流れとスケジュール(公募回・締切)
| 項目 | 4次公募(単年度事業)の日程 |
|---|---|
| 公募期間 | 2026年10月5日(月)〜10月30日(金)17:00必着 |
| 交付決定 | 2026年12月下旬予定 |
| 事業完了 | 原則2027年1月31日(日)まで |
| 実績報告 | 事業完了日から30日以内または2027年2月5日のいずれか早い日 |
| 補助金の支払い | 2027年1月末〜3月末 |
- 補助事業ポータルのアカウント登録:申請書類はSIIの「補助事業ポータル」(Web)で作成します。登録から約1日後にログイン情報がメールで届きます。1〜3次公募で取得したアカウントは4次公募でも使えます。
- 3者以上の見積依頼・証憑の準備:見積依頼・競争入札は、1次公募の公募要領公開日(2026年3月25日)以降の発行日であれば交付決定前の実施も有効とされています。
- 省エネ量の計算と交付申請:SIIの「省エネルギー量計算の手引き」や省エネ計算プログラムを使い、要件を満たすか確認します。4次公募の申請書類は、配送状況が確認できる方法での郵送が必要で、持参は不可です。
- 審査・採択・交付決定:事業区分ごとに評価項目に沿って審査され、外部審査委員会の評価を踏まえ、上位から予算の範囲内で採択されます。
- 契約・発注→設置・検収・支払い→実績報告→確定検査→補助金の支払い:その後、成果報告も必要です。
採択に向けたポイントと注意点
- 交付決定前の発注は対象外:公募要領では、交付決定の通知前に発注等を完了させた事業は補助対象にならないと明記されています。契約・発注は必ず交付決定日以降に行います。
- 既存設備の撤去:原則として既存設備は事業完了日までに撤去する必要があります。並行稼働が必要な場合は事前にSIIへ相談し、理由書を提出します。
- 事業完了日の厳守:申請時の事業完了予定日を守る必要があり、遅れると補助対象にならない場合があります。単年度事業は工期が短いため、納期の確認が重要です。
- 財産処分の制限:補助金で取得した設備は、法定耐用年数の期間内に処分(譲渡・廃棄など)する場合、事前にSIIの承認が必要で、補助金の返還が発生する場合があります。書類は事業完了年度の終了後5年間の保存が必要です。
- 不正受給への対応:不正が認められると交付決定の取消、加算金(年10.95%)付きの返還、事業者名と不正内容の公表、補助金適正化法に基づく刑事罰の対象になります。
- 税務処理:SIIは、本補助金が圧縮記帳等の適用を受ける国庫補助金等に該当する旨を国税庁から回答を得ていると案内しています。処理は税理士等に相談しましょう。
よくある質問
店舗の業務用エアコンや冷蔵ショーケースの入れ替えは対象ですか?
高効率空調や冷凍冷蔵設備は(Ⅲ)設備単位型の指定設備の区分にあります。ただし、SIIが公表した補助対象設備(型番)であることと、省エネ要件を満たすことが必要です。
4次公募に間に合わなかった場合は?
2026年10月時点で、5次公募の実施はSIIのサイトで公表されていません。次の公募の有無は、SIIの新着情報で確認してください。
採択結果はいつ分かりますか?
4次公募の交付決定は2026年12月下旬の予定です。SIIは過去の公募回の交付決定案件一覧を公開しています。
まとめ(公式ページ)
省エネルギー投資促進支援事業は、2026年10月時点では令和7年度補正「省エネ・非化石転換補助金」として実施され、4次公募は10月30日17:00必着で締め切られます。中小企業は、指定設備へ更新する(Ⅲ)設備単位型(補助率1/3以内、上限1億円)が中心で、より性能の高い設備や電化・燃料転換では補助率が上がります。今後の公募や要件は変わる可能性があるため、申請を検討する際は必ずSIIの公式サイトで最新の公募要領を確認してください。