この記事で分かること

「株式投資を始めてみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」という人に向けて、株式と投資信託の仕組み、かかる費用と税金、口座開設までの流れ、初心者がつまずきやすい点を順番に整理します。特定の銘柄・商品・証券会社をすすめる記事ではありません。また、投資は元本割れ(投資したお金より減ること)のおそれがあることを前提に読んでください。制度や税率は2026年10月時点の公式情報にもとづいています。

仕組みの基本

株式とは

金融庁の「資産形成の基本」では、株式は「会社が事業資金を集めるために発行する有価証券」と説明されています。株を買うと、その会社の株主になり、株価が上がったときに売って得る値上がり益(譲渡益)や、会社が利益の一部を分ける配当を受け取れる可能性があります。ただし株価は業績や景気などで上下し、配当も約束されたものではありません。

国内の上場株式は、日本取引所グループ(JPX)によると2018年10月1日に売買単位が100株に統一されています。つまり通常の取引では「株価×100株」程度の資金が必要です。1株単位などで買える「単元未満株」の取引を扱う証券会社もありますが、取扱いの有無や条件は会社ごとに違うため、各社で確認が必要です。

投資信託とは

投資信託は、金融庁の説明では「多くの投資家から集めたお金を様々な資産で運用する仕組みの商品」です。専門家が運用し、1本で複数の株式や債券に分散できるのが特徴ですが、運用成果は保証されず、こちらも元本割れのおそれがあります。

比べる点株式(個別株)投資信託
投資先1社ごとに自分で選ぶ運用会社が複数の資産に投資
必要資金の目安株価×売買単位少額から購入できる商品が多い
主なコスト売買手数料購入時手数料・運用管理費用(信託報酬)など
元本保証なしなし

メリットとリスク

金融庁は、株式や投資信託に投資することで預貯金より高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれもあると明記しています。主なリスクは次のとおりです。

  • 価格変動リスク:株価や基準価額(投資信託の値段)が下がり、売るときに損失が出ることがある
  • 信用リスク:投資先の会社の業績悪化や経営破綻で、株の価値が大きく下がったり失われたりすることがある
  • 為替リスク:海外の資産に投資する場合、円高になると円で見た価値が下がることがある
  • 流動性リスク:売りたいときに希望の価格で売れないことがある

こうしたリスクとの付き合い方として、金融庁は「長期・積立・分散」を紹介しています。値動きの異なる複数の資産に分けると価格の変動をある程度抑えられること、決まった金額を続けて買う積立は高いときにだけ買ってしまうことを避けられることなどです。ただし、これらは損失をなくす方法ではありません。

かかる費用と税金

費用

株式では売買のたびに証券会社の手数料がかかることがあります。投資信託では、購入時手数料、保有中ずっとかかる運用管理費用(信託報酬)、解約時の信託財産留保額などがあります。金額や有無は会社・商品ごとに違うため、契約前に交付される書面や目論見書で必ず確認しましょう。

税金

国税庁によると、上場株式等(上場株式のほか、公募投資信託の受益権なども含まれます)を売って得た利益は、ほかの所得と分けて計算する申告分離課税です(国税庁 No.1463「概要」「範囲」)。税率は20%(所得税15%、住民税5%)で、平成25年から令和29年までは復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)もあわせて納めます(同「税率」)。利益は「売った金額-(買った金額+委託手数料等)」で計算します(同「計算方法」)。

上場株式等の配当も、受け取るときに所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収されるのが原則です(国税庁 No.1330)。なお国税庁は、令和9年(2027年)1月1日以後に生ずる所得から、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税があわせて源泉徴収されると案内しています(国税庁 No.1476)。

損失が出た場合は、確定申告により上場株式等の配当等と損益通算でき、引ききれない損失は翌年以後3年間繰り越して控除できます(国税庁 No.1474)。ただしNISA口座内で生じた損失は、損益通算・繰越控除ができません。

始め方の手順

  1. 家計を整える:金融庁は、収入と支出を把握して黒字分を貯蓄することを家計管理の基本としています。当面の生活費や近く使う予定のお金は投資に回さず、なくなっても生活に困らない範囲の資金で考えます。
  2. 目的と期間を決める:「何のために、いつまでに」を考えると、預貯金と投資の使い分けがしやすくなります。
  3. 証券口座を開く:銀行や証券会社などで口座を開きます。本人確認書類やマイナンバーが求められるのが一般的です。
  4. 口座の種類を選ぶ:一般口座のほか、金融機関が年間の損益を計算してくれる特定口座があります。特定口座で「源泉徴収あり」を選ぶと、口座内の譲渡益について確定申告を不要にできます(国税庁 No.1476)。源泉徴収の選択はその年の最初の売却までに届け出る必要があり、年の途中で変更できません。
  5. NISAを使うか検討する:NISA口座で投資した商品の売却益や配当・分配金は非課税です。金融庁によると年間投資枠はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の合計360万円、非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)です。口座は1人1口座です。
  6. 少額で始めて仕組みに慣れる:商品の説明書類を読み、リスクとコストを理解できたものだけを、無理のない金額で買います。

注意点・よくある失敗

  • 生活資金まで投資してしまう:値下がりした時期に現金が必要になると、損失を確定させて売らざるを得なくなります。
  • 1つの銘柄に集中する:その会社に何かあったときの影響がそのまま資産に出ます。
  • SNSやうわさで売買する:「必ず儲かる」といった話は疑ってかかりましょう。登録を受けていない業者による勧誘にも注意が必要です。
  • 税金の手続きを知らない:特定口座の源泉徴収の選択や、損失を繰り越すための確定申告(売却がなかった年も継続して申告が必要)を見落としがちです。
  • NISAの損失は通算できないことを知らない:NISA口座の損失は課税口座の利益と相殺できません。

よくある質問

いくらから始められますか?

個別株は通常「株価×100株」が必要ですが、単元未満株や少額から買える投資信託を扱う会社もあります。最低金額は会社や商品ごとに違うので、各社の案内で確認してください。

会社員でも確定申告は必要ですか?

特定口座の「源泉徴収あり」を選べば、その口座内の譲渡益は申告不要にできます。ただし、複数口座の損益を相殺したい場合や損失を繰り越したい場合は確定申告が必要です(国税庁 No.1476、No.1474)。

NISAなら損をしませんか?

いいえ。NISAは利益にかかる税金が非課税になる制度で、値下がりによる損失を防ぐものではありません。

まとめ

株式投資は、家計の整理と目的決め、仕組みとリスクの理解、口座(特定口座・NISA)の選択という順で始めるのが基本です。株式も投資信託も元本保証はなく、損失が出る可能性があります。税率や制度は改正されることがあるため、2026年10月時点の情報として、実際に始める前に国税庁・金融庁の最新情報や、取引する金融機関の書面を確認してください。

参考資料・出典