この記事で分かること

「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」は、2026年度から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という一つの補助金にまとめられました。この記事では、2026年10月時点で公開されている第1回公募の公募要領(1.2版)と公式サイトをもとに、次の点を整理します。

  • 旧2制度と新制度の関係(いま申請できるのはどれか)
  • 3つの申請枠の違いと、補助率・補助上限額
  • 全枠に共通する賃上げなどの基本要件と、未達時の返還
  • 申請から入金までの流れと、公募要領が挙げる注意点

補助金の概要:旧2制度は統合され、新制度へ

中小企業新事業進出補助金は第4回公募、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は23次締切をもって、それぞれ新規の募集を終えています。両制度の公式サイトには「本補助金の公募は終了しております。新規の受付は『新事業進出・ものづくり商業サービス補助金』まで」と案内されています。これから申請を考える事業者は、新制度の公募要領を確認することになります。

新制度は、中小企業等が行う技術的革新性のある製品・サービスの開発、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた国内体制の強化を後押しし、企業規模の拡大と賃上げにつなげることを目的としています。実施機関は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で、所管は経済産業省 中小企業庁です。なお、公式サイトでは、旧2制度とは「異なる補助金」であるとも明記されています。

対象になる事業者と基本要件

対象は日本国内に本社と事業実施場所を持つ中小企業者等です。応募申請時点で従業員数が0名の事業者や、みなし大企業などは対象外です。同一事業者(親会社と子会社など「みなし同一事業者」を含む)からの応募は、1回の公募につき1申請に限られます。

どの枠でも、補助事業終了後3〜5年の事業計画で次の要件を満たす必要があります。

  • 付加価値額要件:付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率4.0%以上
  • 賃上げ要件:一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上。目標値は交付申請時までに従業員等へ表明が必要で、未達の場合は未達成率に応じた返還があります
  • 事業場内最賃水準要件:事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金より30円以上高く保つこと。未達の年は返還対象です
  • ワークライフバランス要件:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」で公表していること(掲載に1〜2週間程度かかるとされています)
  • 子育て等に関する職場環境整備の取り組みを1つ選んで実施すること
  • 金融機関から資金提供を受ける場合は、その金融機関による「確認書」の提出

申請枠・補助率・補助上限額

補助上限額は従業員数で決まり、括弧内は「賃上げ特例」(一人当たり給与支給総額の年平均成長率6.0%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にする計画)を受けた場合の額です。

項目革新的新製品・サービス枠新事業進出枠グローバル枠
内容革新的な新製品・新サービスの開発既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出海外市場開拓(輸出)に向けた国内の体制強化
補助上限額1〜5人:750万円(850万円)、6〜20人:1,000万円(1,250万円)、21〜50人:1,500万円(2,500万円)、51人以上:2,500万円(3,500万円)1〜20人:2,500万円(3,000万円)、21〜50人:4,000万円(5,000万円)、51〜100人:5,500万円(7,000万円)、101人以上:7,000万円(9,000万円)新事業進出枠と同じ
補助下限額100万円750万円750万円
補助率中小企業者1/2(特例で2/3)、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/31/2(特例で2/3)2/3
実施期間交付決定日から10か月以内交付決定日から14か月以内交付決定日から14か月以内

補助率の括弧内は、最低賃金近くで働く従業員の割合が一定以上の事業者が使える「地域別最低賃金引上げ特例」を受けた場合です。革新的新製品・サービス枠は、機械を入れるだけで新製品・新サービスの開発を伴わない事業は対象外です。新事業進出枠は、自社にとって新しい製品等で新しい顧客層を狙う事業が対象で、既存製品の増産や単なるメニュー追加、商圏を変えるだけの事業は該当しないと例示されています。

対象経費と対象外の経費

共通の対象経費は、機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。新事業進出枠とグローバル枠では建物費も対象になり、グローバル枠ではさらに海外旅費、通訳・翻訳費も対象です。

一方、事務用パソコン・タブレット・スマートフォンなど汎用性があり目的外に使えるもの、自動車などの車両、公租公課(消費税等)、申請書類の作成費用などは対象外です。取得した設備は補助事業に「専ら」使う必要があり、既存事業に使うと補助金の返還対象になり得ます。

申請の流れとスケジュール

  1. GビズIDプライムアカウントの取得:発行に1週間程度かかります
  2. 事業計画の作成と電子申請:申請は電子申請システムのみ。代理申請の仕組みはなく、申請者自身が入力します
  3. 審査・採択:書面審査に加え、必要に応じて口頭審査があります
  4. 交付申請・交付決定:採択後に経費を精査し、交付額が決まります
  5. 補助事業の実施:交付決定後に発注・契約し、期間内に納入・支払まで完了
  6. 実績報告・確定検査・補助金の請求と支払
  7. 事業化状況報告:事業計画期間に5年間の報告があります

第1回公募は、申請受付が2026年9月30日(水)から始まり、締切は2026年10月30日(金)18:00(当初の9月30日締切から延長)、採択発表は2027年1月頃の予定です。2026年10月時点で、第2回公募の日程は公式には発表されていません。次回以降は事務局サイトで確認してください。

採択に向けたポイントと注意点

  • 交付決定前の発注は対象外:交付決定日より前に契約・発注した経費は補助対象になりません(事前着手の禁止)
  • 採択=満額交付ではない:交付申請の精査で減額や全額対象外になることがあります
  • 計画は自分で作る:認定経営革新等支援機関などの助言を受けるのは構いませんが、作成自体を申請者以外が行うことは認められません。支援を受けた場合は支援者名・報酬額などを申請画面に記載する必要があります
  • 悪質な業者に注意:公募要領は、サービス内容とかけ離れた高額な成功報酬の請求や経費の水増しの提案などを不適切な行為の例として挙げ、注意を呼びかけています
  • 不正受給への厳しい措置:虚偽申請などが判明すると交付決定取消・加算金付きの返還、悪質な場合は事業者名等の公表があり、補助金適正化法に基づく罰則の対象になり得ます

よくある質問

旧ものづくり補助金・新事業進出補助金に今から申請できますか?

できません。どちらも新規の募集は終了しており、新規の受付は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で行われています。

採択結果はいつ分かりますか?

第1回公募の採択発表は2027年1月頃の予定と公募要領に記載されています。旧制度の採択結果(新事業進出補助金第4回、ものづくり補助金23次締切など)は、それぞれの公式サイトで公表されています。

不採択だった場合、再申請はできますか?

事業計画を見直したうえで、再度申請することができるとされています。

まとめ

2026年10月時点で、新事業進出補助金とものづくり補助金は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合され、3つの枠から自社の取り組みに合うものを選ぶ形になりました。賃上げ要件には返還義務があり、一般事業主行動計画の公表やGビズIDの取得にも時間がかかります。次回公募に備える場合も、最新の公募要領と事務局サイトで必ず内容を確かめてください。

参考資料・出典