この記事で分かること

「副業を始めたいけれど、何から手を付ければいいか分からない」「確定申告はいくらから必要?」という方に向けて、副業の始め方を手順に沿って整理します。この記事では次の点を解説します。

  • 副業の主な種類と、向き不向きの考え方
  • 始める前に確認したい就業規則・時間・資金
  • 副業の所得にかかる税金と、確定申告・住民税の申告の考え方
  • 副業詐欺や本業への影響など、注意したいトラブル

税金や制度の内容は2026年10月時点で国税庁・厚生労働省などの公表情報をもとにしています。制度は変わることがあるため、実際の手続きの前には必ず最新の公式情報をご確認ください。

副業の種類と向き不向き

副業は大きく分けると、次のような形があります。どれが良い・悪いではなく、自分の時間・スキル・使えるお金に合うかどうかで選ぶのが基本です。

形態例特徴・注意点
雇用される副業アルバイト・パート収入の見通しを立てやすい一方、本業と労働時間が通算される点に注意が必要
スキルを使う仕事の受託ライティング、デザイン、プログラミング、動画編集経験や実績が必要になりやすい。契約・著作権の確認が大切
物を売るハンドメイド販売、せどり・物販仕入れ・在庫のリスクがある。古物商許可など業種ごとの法律の確認が必要
発信・紹介型ブログ、SNS、アフィリエイト成果が出るまで時間がかかることが多く、収入は不安定になりがち

選ぶときは「本業の経験を活かせるか」「週に何時間使えるか」「赤字になったときに困らない金額で始められるか」の3点を目安にすると、自分に合うものを絞り込みやすくなります。どの副業でも「確実に稼げる」ものはなく、成果が出るまでに数か月以上かかることも珍しくありません。

始める前に確認すること(就業規則・時間・資金)

会社の就業規則を確認する

最初に確認したいのが勤務先の就業規則です。厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しており、モデル就業規則でも「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業についての規定を新設しています(厚生労働省「副業・兼業」モデル就業規則)。ただし、実際のルールは会社ごとに異なります。禁止されていないか、届出や許可が必要か、競合する仕事や会社の秘密に関わる仕事が制限されていないかを確認し、必要なら事前に届け出ましょう。厚生労働省は副業・兼業に関する届出様式例も公開しています。

時間と健康

アルバイトなど雇用される副業の場合は、本業と副業の労働時間が通算される考え方があり、厚生労働省が解説資料を公表しています。業務委託の副業でも、睡眠や休日を削り続けると本業に影響が出ます。まずは「平日は1日1時間、休日に数時間」など、無理のない上限を決めてから始めましょう。

資金

パソコンや仕入れ代など、副業によっては初期費用がかかります。生活費に手を付けず、失っても困らない範囲で始めることが大切です。借金をして始める副業は避けましょう。

始め方の手順

  1. 目的を決める:収入を少し増やしたいのか、スキルを伸ばしたいのか、将来の独立を考えるのかで選ぶ副業が変わります。
  2. 就業規則を確認し、必要なら会社に届け出る
  3. 副業の種類を選び、小さく試す:最初から大きな投資をせず、少額・短時間で試して続けられるか確かめます。
  4. お金の記録を付け始める:収入と経費(仕事に必要な支出)を、領収書や明細と一緒に残しておくと確定申告が楽になります。
  5. 必要に応じて開業届・青色申告を検討する:事業として始めた場合、「個人事業の開廃業等届出書」は事業開始の年分の確定申告期限までに提出する手続きです。青色申告の承認を受けたい場合は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日まで(1月16日以後に新たに開業した場合は開業日から2か月以内)に申請します(国税庁 No.2090)。

副業の収入にかかる税金と確定申告

「所得20万円」の考え方

会社員の多くは年末調整で所得税の精算が終わります。しかし、給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。ここでいう「所得」は売上そのものではなく、収入から必要経費を引いた金額です。なお、確定申告をすれば税金が還付される人は「申告しなければならない人」から除かれています。

雑所得と事業所得

副業の所得は、原稿料などの副業に係る所得として「雑所得」に当たることが多く、営利を目的とした継続的なものは「業務に係る雑所得」として、総収入金額から必要経費を引いて計算します(国税庁 No.1500)。一方、事業として営んでいる場合は「事業所得」となり、同じく総収入金額から必要経費を引いて計算します(国税庁 No.1350)。どちらに当たるかは副業の規模や継続性などで判断されるため、迷ったら税務署に相談しましょう。

20万円以下でも住民税の申告は必要

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税(市民税・県民税)には所得税のような申告を省略できる範囲がなく、原則としてすべての所得を申告する必要があると、名古屋市などの自治体が案内しています。所得税の確定申告をした場合は、改めて住民税の申告をする必要はありません。手続きの時期や窓口は、お住まいの市区町村で確認してください。

注意点(詐欺・トラブル・本業への影響)

「簡単に稼げる」副業サポートに注意

国民生活センターは、副業サポートや投資の名目で多額の費用を請求され、消費者金融などから借り入れさせられる相談が目立つとして注意を呼びかけています(2026年5月)。相談事例には、ネット広告で知った業者にアフィリエイトのサポートを勧められ、画面共有をしながら当日中に多額の借り入れをしてしまったケースもあります。次のような誘いには応じないようにしましょう。

  • 「簡単に稼げる」「すぐに元が取れる」と強調する
  • 高額なマニュアル・サポート・コンサル契約を急がせる
  • 借金や虚偽の申告を指示する、遠隔操作アプリの導入や画面共有を求める

不安を感じたら、すぐに消費者ホットライン「188」に相談してください。

本業への影響

競合する仕事や、本業で知った情報を使う仕事はトラブルの原因になります。体調を崩して本業に支障が出ないよう、働きすぎにも注意しましょう。

よくある質問

副業の確定申告はいくらから必要ですか?

給与を1か所から受けている会社員の場合、副業などの所得(収入から必要経費を引いた金額)の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。ただし、医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も申告に含める必要があるとされています。詳しくは国税庁のQ&A「確定申告を要しない場合の意義」などで確認しましょう。

開業届は必ず出さないといけませんか?

開業届は新たに事業を開始したときの手続きです。副業が事業に当たるかどうかで変わるため、迷う場合は税務署に確認しましょう。

副業を会社に知られたくない場合は?

隠すことを前提にするのではなく、就業規則に沿って届け出るのが基本です。無断で始めると、規則違反として不利益を受けるおそれがあります。

まとめ

副業を始めるときは、①就業規則の確認、②無理のない時間とお金の範囲、③収入と経費の記録、④確定申告と住民税の申告、の順に準備しておくと安心です。「誰でも簡単に稼げる」副業はなく、うまい話には詐欺の可能性があります。制度は変わることがあるため、税金や手続きは国税庁や市区町村、勤務先のルールなど公式の情報で確認しながら進めましょう。

参考資料・出典