事業承継・M&A補助金は、2026年10月時点で16次公募の申請を受け付けており、締切は2026年11月6日(金)17:00(厳守)です。申請受付は10月2日に始まり、事務局は不備の差戻し・修正に対応できるよう、締切の5営業日前(10月29日)までの提出を推奨していました。この記事では、事業承継・M&A補助金事務局が公開している16次公募の各公募要領をもとに、4つの申請枠の内容と申請の流れを整理します。
この記事で分かること
- 事業承継・M&A補助金の目的と、16次公募のスケジュール
- 事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠の違い
- 各枠の補助率・補助上限額・賃上げによる上限引上げ
- 対象経費の考え方と、被承継者への支払いなど対象外になる経費
- GビズIDとJグランツによる申請から補助金の受け取りまでの流れ
補助金の概要(目的・実施機関)
事業承継・M&A補助金は、中小企業生産性革命推進事業の一つで、中小企業者・個人事業主が事業承継やM&Aに際して行う設備投資や、経営資源の引継ぎ、引継ぎ後の経営統合(PMI)にかかる経費の一部を補助し、事業承継・事業再編・事業統合を促して生産性向上を図ることを目的としています。事業は中小企業庁の予算で行われ、申請受付や審査は事業承継・M&A補助金事務局が担当します。補助金適正化法が適用されるため、国の補助金と同じルールで執行されます。
2026年9月11日に公表された15次公募の結果は、申請551件に対し採択338件(事業承継促進枠115件、専門家活用枠194件、PMI推進枠28件、廃業・再チャレンジ枠1件)でした。
対象になる事業者と要件
対象は中小企業者と個人事業主です。枠ごとに要件が細かく決まっていますが、ここでは利用の多い2つの枠の主な要件を紹介します。
事業承継促進枠(親族内承継・従業員承継)
- 16次公募の事業承継対象期間は2026年11月6日から2031年11月5日までで、この期間内に事業承継を完了する予定であることが必要です。期間内に承継が完了しないと補助金の返還が求められます。
- 承継予定者は、法人なら役員として3年以上の経験、継続して3年以上雇用され業務に従事した経験(通算可)、または被承継者の親族で対象会社の代表経験がない人などである必要があります。
- 対象会社は公募申請時点で3期分の決算・申告が完了していること(個人事業主は開業届・青色申告承認申請書の提出から5年経過)などが求められます。
- 経営権と所有権(株式・持分等)の両方が被承継者から承継者へ譲渡されることが必要で、代表者の交代のみ、グループ内の再編、のれん分け、物品・不動産のみを保有する事業の承継などは対象外です。
- 公募申請前に認定経営革新等支援機関から事業承継計画の確認書の発行を受ける必要があります。
専門家活用枠(M&Aの買い手・売り手)
M&Aによる経営資源の引継ぎを行う際の、ファイナンシャルアドバイザー(FA)・仲介業者や士業などの専門家費用を支援する枠です。FA・仲介費用を補助対象にする場合は、国の「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者を利用することが前提となります。
申請枠・補助率・補助上限額
16次公募の各公募要領に記載された補助率と上限額は次のとおりです(2026年10月時点)。
| 枠・類型 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 2/3(小規模事業者等)または1/2 | 800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円)/下限100万円 |
| 専門家活用枠 買い手支援類型 | 2/3 | 600万円(デュー・ディリジェンス実施で+200万円)/下限50万円 |
| 専門家活用枠 売り手支援類型 | 1/2または2/3(営業利益率の低下・赤字等の場合) | 600万円/下限50万円 |
| 専門家活用枠 小規模売り手支援類型 | 2/3 | 450万円 |
| 専門家活用枠 買い手支援類型(100億企業特例) | 1/2(1,000万円超の部分は1/3) | 2,000万円 |
| PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 1/2 | 150万円/下限50万円 |
| PMI推進枠 事業統合投資類型 | 2/3(小規模事業者等)または1/2 | 800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円)/下限100万円 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 2/3(併用時は他の枠の補助率) | 300万円 |
このほか、多くの枠で廃業費を併用申請すると上限が加算されます(例:事業承継促進枠は+300万円、小規模売り手支援類型は+150万円)。専門家活用枠では、補助事業期間内にM&Aが成立(クロージング)しなかった場合、上限額が引き下げられ、原則デュー・ディリジェンス費用等のみが対象になります。
賃上げ要件による上限引上げ(事業承継促進枠・事業統合投資類型)
公募申請時までに3%以上の賃上げを全従業員(または従業員代表者・役員)に表明し、補助事業完了年度の翌年度に従業員1人あたり給与支給総額を3%以上引き上げることが要件です。800万円を超える部分の補助率は1/2以内です。達成できなかった場合は、引上げ分(最大200万円)の返還が求められます。
「小規模事業者等」は、製造業その他・宿泊業・娯楽業で従業員20人以下、商業・サービス業で5人以下の会社・個人事業主と定義されています。
対象経費と対象外の経費
事業承継促進枠の事業費には、設備費(国内の店舗・事務所の工事や機械器具の調達)、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費などがあります。専門家活用枠ではFA・仲介費用やデュー・ディリジェンス費用などの専門家費用が中心です。
対象になるのは、交付決定日以降に契約・発注し、補助事業期間内に支払いまで完了した経費で、実績報告の証拠書類で金額と支払いが確認できるものに限られます。次のような経費は対象外です。
- 事業承継に際して被承継者に支払う譲受費用(土地・資産の購入費用など)。被承継者への支払いは原則対象外です。
- 売上原価に相当すると事務局が判断する経費
- 国(独立行政法人を含む)の他の補助金・助成金と重複する事業の経費
詳細は各枠の公募要領と「(別紙)補助対象経費」で確認してください。
申請の流れとスケジュール(公募回・締切)
| 項目 | 16次公募の日程 |
|---|---|
| 公募要領の公開 | 2026年9月4日(金) |
| 申請受付期間 | 2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00(厳守) |
| 補助事業期間(事業承継促進枠) | 2027年1月(下旬予定)から14か月以内を想定 |
- GビズIDプライムを取得:申請はデジタル庁の電子申請システム「Jグランツ」のみで受け付けます。発行には1〜2週間、混雑時は3週間程度かかります。
- 必要書類の準備:事業承継促進枠・廃業・再チャレンジ枠は、認定経営革新等支援機関の確認書が必要です。締切直前は依頼が間に合わない場合があります。
- Jグランツで公募申請:締切日時を過ぎた申請は受け付けられません。
- 採択→交付申請→交付決定:交付決定通知を受け取ってから専門家との契約や発注に着手します。
- 補助事業の実施→実績報告→補助金の確定・支払い:補助金は精算後の支払い(実費弁済)です。その後も事業化状況報告などの義務があります。
採択に向けたポイントと注意点
- 交付決定前の契約・発注は対象外:FAとの委託契約なども交付決定後に結ぶ必要があります。
- 申請は余裕をもって:締切間際の申請は差戻しを複数回受けられず、不備が解消しないと不採択になる可能性があると事務局が案内しています。
- 申請者自身が内容を理解する:入力内容は申請者自身が理解・確認する必要があり、同一パソコンからの大量申請などは事情を聞かれることがあります。GビズIDのアカウントを他人に使わせることも利用規約違反です。
- 悪質な業者に注意:公募要領は、実際の作業とかけ離れた高額な成功報酬を請求する業者への注意を呼びかけています。また、行政書士でない者が有償で申請書類を作成することは行政書士法違反に当たる可能性があるとされています。
- 不正受給への罰則:不正が認められると交付取消、加算金(年10.95%)付きの返還、名称と不正内容の公表、補助金適正化法に基づく刑事罰の対象になります。
よくある質問
親から子への事業承継でも使えますか?
親族内承継は事業承継促進枠の対象です。ただし代表者の交代のみで株式等の所有権が移らない場合や、承継予定者の要件を満たさない場合は対象外です。
複数の枠に同時に申請できますか?
事業承継促進枠は、同じ公募回で専門家活用枠・PMI推進枠と併せて申請できません。一方、専門家活用枠(買い手支援類型)とPMI推進枠(PMI専門家活用類型)は同時申請が可能です。
16次に間に合わない場合は?
2026年10月時点で、17次公募の日程は事務局サイトで公表されていません。最新情報は公式サイトで確認してください。
まとめ(公式ページ)
事業承継・M&A補助金の16次公募は、2026年11月6日(金)17:00が申請締切です。事業承継促進枠は上限800万円(賃上げで1,000万円)、専門家活用枠は買い手・売り手とも上限600万円が基本で、枠ごとに補助率や要件が異なります。認定支援機関の確認書、GビズIDプライムの取得など準備に時間がかかるものが多いため、各枠の公募要領を読み込んだうえで早めに手続きを進めましょう。