この記事で分かること
男性従業員が育児休業を取ったときに会社が受け取れる「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」。通称「子育てパパ支援助成金」とも呼ばれます。2026年10月時点で公表されている令和8年度(2026年度)の支給要領・申請の手引きをもとに、両立支援等助成金の全体像と、出生時両立支援コースの申請の流れを順番に解説します。
- 両立支援等助成金の6つのコースと支給額の目安
- 出生時両立支援コースの要件(雇用環境整備・業務体制整備・育休日数)
- 育休開始前にやっておくべき準備と、申請期限・申請先
- 不支給になりやすいポイントと不正受給の注意点
助成金の概要(目的・管轄)
両立支援等助成金は、育児・介護と仕事を両立できる職場づくりに取り組む事業主を支援する、厚生労働省の雇用関係助成金です。申請先は、人事労務管理の機能を持つ本社等の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。登記上の本店と異なる場合がある点に注意してください。
出生時両立支援コースは、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行い、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得させた事業主などに支給されます。
対象になる事業主と主な要件
出生時両立支援コースの共通要件として、支給要領では主に次の点が定められています。
- 育児休業(出生時育児休業を含む)と育児のための短時間勤務制度を、対象者の休業開始前に就業規則等に規定していること(「法律に準拠する」と書くだけでは不可)
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・届出し、公表・周知していること(申請時に有効なもの)
- 対象の男性労働者を、育休開始日から申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用していること
「男性労働者の育児休業取得」は中小企業事業主が対象です。「育児休業取得率の上昇等」は令和8年度から、業種にかかわらず常時雇用する労働者が300人以下などの「特定事業主」が対象になりました。
コース・メニューと支給額
両立支援等助成金の6コース(2026年度)
| コース | 主な内容と支給額の例 |
|---|---|
| 出生時両立支援コース | 男性の育休取得:1人目20万円、2・3人目各10万円/育休取得率の上昇等:60万円 |
| 介護離職防止支援コース | 介護休業の取得・復帰:40万円など |
| 育児休業等支援コース | 育休取得時30万円、職場復帰時30万円 |
| 育休中等業務代替支援コース | 業務代替者への手当支給や代替要員の新規雇用を助成 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 制度を3つ導入し利用:20万円、4つ以上:25万円など |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 不妊治療・月経・更年期の各制度利用:各30万円 |
出生時両立支援コースの支給額
- 男性労働者の育児休業取得:1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合は30万円)、2人目・3人目は各10万円
- 男性労働者の育児休業取得率の上昇等:60万円(プラチナくるみん認定事業主は15万円加算、1事業主1回限り)
- 育児休業等に関する情報公表加算:2万円(いずれか1回限り)
取得日数の要件は、1人目が連続5日以上、2人目が連続10日以上、3人目が連続14日以上で、いずれも子の出生後8週間以内に開始する育休であることが必要です。なお、同じ労働者の同じ育休について、育児休業等支援コース(育休取得時等)との併給はできません。
事前に必要な準備(計画届・就業規則など)
人材開発支援助成金のような訓練計画届はありませんが、育休開始日の前日までに整えておくべきことが多いのがこのコースの特徴です。
- 就業規則の整備:育児休業・短時間勤務制度を現行の育児・介護休業法の水準で規定
- 一般事業主行動計画の策定・労働局への届出・公表・周知
- 雇用環境整備の措置(研修、相談体制、事例の収集・提供、方針の周知、業務配分・人員配置の措置のうち、1人目は2つ以上、2人目は3つ以上、3人目は4つ以上)を育休開始日の前日までに実施。出生時育児休業の申出期限を2週間前より長くしている場合は、必要数が1つ増えます
- 業務体制整備:育休取得者の業務の整理・引継ぎと、引継ぎ業務の見直し検討を定めた規定等(または育休復帰支援プラン)を育休開始日の前日までに策定・周知
申請の流れと期限
- 上記の規定整備・雇用環境整備・業務体制整備を行う
- 男性労働者が子の出生後8週間以内に所定日数以上の育休を取得
- 育休の終了後、支給申請書と添付書類(就業規則、雇用環境整備の実施が分かる書類、業務見直しの規定等、育児休業申出書、出勤簿・賃金台帳、子の出生日が確認できる書類、行動計画の策定届の写しなど)を準備
- 育児休業の終了日の翌日から起算して2か月以内に、本社等を管轄する労働局へ申請
「育児休業取得率の上昇等」は、要件を満たした事業年度の翌事業年度の開始日から6か月以内が申請期間です。郵送の場合は期限内必着で、消印が期間内でも到達が遅れると受け付けられません。雇用関係助成金ポータルでの電子申請も利用できます。
よくある不支給の理由と注意点
- 申請期限(育休終了日の翌日から2か月以内)を過ぎてしまった
- 就業規則に育休・短時間勤務制度を規定していない、または法改正に追いついていない
- 一般事業主行動計画を届け出ていない、期間が切れている
- 雇用環境整備の措置や業務体制整備が、育休開始日より後になっている
- 育休中に就業した日は育休日数に数えないため、日数要件を満たしていない
- 申請前1年間に育児・介護休業法などの重大な違反がある、労働関係法令違反で送検されている
不正受給(偽りその他不正の行為で本来受けられない助成金を受けること)があった場合は、返還額に加えて年3%の延滞金と20%相当額の請求、5年間の支給停止、悪質な場合の事業主名の公表などの対象となります。また手引きでは、社会保険労務士以外の人(弁護士等を除く)が報酬を得て申請手続きを業として行うことは社会保険労務士法違反になると注意喚起しています。
よくある質問
Q. 産後パパ育休(出生時育児休業)でも対象になりますか?
支給要領上、育児休業には出生時育児休業も含まれます。子の出生後8週間以内に開始し、日数要件を満たせば対象になり得ます。
Q. 誰に相談すればよいですか?
要件の確認は管轄労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。就業規則の改定や申請書類の作成を外部に依頼する場合は、社会保険労務士に相談するとよいでしょう。
まとめ(公式ページ)
出生時両立支援コースは、①就業規則と行動計画の整備、②育休開始前の雇用環境整備・業務体制整備、③育休終了後2か月以内の申請、という流れを押さえることが重要です。支給額や要件は年度ごとに変わるため、申請前に厚生労働省の最新の支給要領・手引きを確認してください(本記事は2026年10月時点の情報です)。