この記事で分かること
- ハンドメイド作品販売・スキル販売の副業の中身と向き不向き
- 始める前に確認したい就業規則・時間・初期費用
- 販売を始めるまでの手順と、手元に残るお金の考え方
- 特定商取引法の表示や著作権など守るべきルール
- 確定申告はいくらから必要か、住民税の申告、開業届の基本
本記事の制度・法令の内容は2026年10月時点で確認できた公的情報にもとづいています。手続きの前には各公式サイトで最新情報を確認してください。
ハンドメイド・スキル販売の副業とは(仕事内容と向き不向き)
ハンドメイド副業は、アクセサリーや布小物、編み物などの作品を作り、販売サイトやフリマアプリ、イベントなどで売る働き方です。スキル販売は、自分の技術や知識を使って、相談、制作代行、オンラインレッスンなどのサービスを提供するものです。
どちらも好きなことを生かせる一方、作品販売は材料の仕入れ・在庫・梱包・発送・問い合わせ対応まで自分で担います。スキル販売も、日程調整や納期管理が欠かせません。コツコツ作ることや、お客様とのやり取りを丁寧に続けられる人に向いています。反対に、短期間で確実な収入を求める人には向きにくい副業です。
始める前に確認すること(就業規則・時間・初期費用)
会社の就業規則
趣味の延長に見えても、継続して売上を得るなら副業にあたる可能性があります。厚生労働省のモデル就業規則は副業・兼業を原則認める方向ですが、届出制や許可制をとる会社もあります。まず就業規則を確認し、必要な届出をしてから始めましょう。
時間と初期費用
制作時間に加え、写真撮影、商品説明の作成、発送作業にも時間がかかります。初期費用は材料・道具・梱包資材などで、販売サイトを使う場合は手数料や振込手数料もかかります。最初から大量に仕入れると売れ残りのリスクがあるため、少量から試すのが安心です。
始め方の手順
- 売るものを決める:得意なものを1〜2種類に絞ります。食品や化粧品のように許可や届出が関係しうるものは、保健所などに事前に確認しましょう。
- 原価と価格を計算する:材料費、梱包材、送料、販売手数料、制作時間を書き出して価格を決めます。
- 販売場所を選ぶ:販売サイトやアプリの手数料、出品禁止物、売上の受け取り方法、トラブル時の対応を規約で確認します。
- 販売ページを整える:価格・送料・発送時期・返品の可否など、後述する表示事項をそろえます。
- 記録をつける:売上と経費を最初から記録し、領収書を保存します。確定申告の準備になります。
収入の目安と注意点
売上がそのまま収入になるわけではありません。材料費や手数料、送料を差し引くと手元に残る金額は小さくなりがちで、制作時間で割ると時給がかなり低くなることもあります。「簡単に稼げる」「月○万円確実」といった目安は存在しないと考えましょう。
また、「材料キットを買えば作品を買い取る」「高額なサポートを受ければ売れる」といった勧誘には注意が必要です。国民生活センターは、内職・副業や情報商材をめぐるトラブルについて注意を呼びかけています。迷ったら契約せず、消費者ホットライン「188」で消費生活センターに相談してください。
守るべきルールと法律
特定商取引法の通信販売の表示
インターネットで広告し、申込みを受ける販売は特定商取引法の「通信販売」にあたります。消費者庁の解説では、営利の意思をもって反復継続して取引を行えば、個人でも「販売業者」になるとされています(特定商取引法 第二条の解説)。販売業者は広告に、販売価格と送料、支払時期・方法、引渡時期、返品に関する事項、氏名(名称)・住所・電話番号などを表示する必要があります(同法 第十一条)。請求があれば遅滞なく提供する旨を表示するなどの条件で一部を省略できる場合もありますが、返品に関する事項は省略できません。
返品について特約を表示していない場合、購入者は商品を受け取った日から数えて8日以内なら申込みの撤回や解除ができ、送料は購入者負担で返品できます(同法 第十五条の三)。返品の可否や条件は必ず明記しましょう。実際よりも著しく優良だと誤認させる表示(誇大広告)も禁止されています(同法 第十二条)。住所や電話番号の表示方法は販売サイトによって仕組みが異なるため、各サイトの案内も確認してください。
著作権・商標への注意
キャラクターやブランドのロゴを使った作品、他人の作品をまねたデザインは、著作権や商標権などの侵害になるおそれがあります。市販の型紙や図案、キャラクター柄の生地も、商用利用が禁止されている場合があります。利用条件が分からないときは使わないのが安全です。文化庁の著作権のページでは、他人の著作物を利用する場合の考え方が案内されています。
スキル販売とフリーランス保護法
従業員を使わずに事業者から制作などを請け負う場合、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」により、発注する事業者は給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面や電子メールなどで明示する必要があります(同法 第三条)。条件があいまいなまま作業を始めないようにしましょう。
収入にかかる税金と確定申告
確定申告はいくらから?
給与を1か所から受けて年末調整を受けている会社員は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。所得とは、売上から材料費・送料・手数料などの必要経費を差し引いた金額です。副業に係る所得は雑所得の例とされ、業務に係る雑所得は「総収入金額−必要経費」で計算します(国税庁 No.1500)。
なお、国税庁は、使っていた古着や家財など生活の用に供している資産の売却による所得は非課税としています(国税庁 No.1906)。販売のために作った作品の売上は、こうした私物の売却とは扱いが異なると考えられるため注意しましょう。
住民税の申告
所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税には同様の申告不要の扱いがなく、申告が必要と案内している自治体があります(例:名古屋市)。お住まいの市区町村に確認してください。
記録の保存と開業届・青色申告
業務に係る雑所得の前々年の収入金額が300万円を超える人は、請求書や領収書などの書類保存が必要とされています(国税庁 No.1500)。規模にかかわらず、取引の記録は残しておきましょう。事業として行う場合は「個人事業の開廃業等届出書」を提出し(国税庁 No.2090)、事業所得として青色申告の承認を受けると、要件に応じて最高55万円または65万円の控除を受けられる場合があります(国税庁 No.2070)。事業所得にあたるかは個別に判断されるため、税務署に相談すると安心です。
よくある質問
Q. フリマアプリで作品を売るのも副業になりますか?
継続して作品を作って売っているなら、副業として扱われる可能性があります。会社のルールと税金の両方を確認しましょう。
Q. 売上が20万円を超えたら申告が必要ですか?
基準は売上ではなく、経費を差し引いた所得です。ただし住民税の申告は20万円以下でも必要になる場合があります。
Q. 自宅の住所を表示したくありません。
特定商取引法では氏名・住所・電話番号の表示が求められます。省略できる条件や、販売サイトが用意している仕組みを確認し、分からなければ消費者庁の解説や消費生活センターで確認しましょう。
まとめ
ハンドメイド・スキル販売は小さく始められますが、材料費や手数料、時間の負担を考えると、収入は決して保証されません。就業規則の確認、特定商取引法の表示、著作権への配慮を押さえ、売上と経費を記録しておきましょう。所得が20万円を超えたら確定申告、20万円以下でも住民税の申告を忘れないことが大切です。