この記事で分かること
せどり(転売)は、商品を仕入れてフリマアプリやネットショップなどで販売し、その差額で利益を得る副業です。始めやすそうに見える一方で、在庫を抱えるリスクや、古物商許可・特定商取引法といった守るべき法律があります。この記事では、初心者がせどりを始める前に知っておきたいことを、手順に沿って解説します。
- せどり・物販の仕事内容と向き不向き
- 始める前に確認したい就業規則・時間・初期費用
- 古物商許可が必要になる場合と申請の流れ
- 特定商取引法の表示、転売が禁止されているもの
- 収入にかかる税金と確定申告・住民税の申告
法律・税金の内容は2026年10月時点の公式情報にもとづいています。実際の手続きの前には最新情報をご確認ください。
せどり・物販の副業とは(仕事内容と向き不向き)
主な作業は、①売れそうな商品を調べる、②店舗やネットで仕入れる、③写真撮影・出品・価格設定、④購入者対応・梱包・発送、⑤売上と在庫の管理です。中古品を扱う「中古せどり」、新品を扱う「新品せどり」、自分で企画・仕入れした商品を販売する「物販」などの形があります。
向いている人:数字の管理が苦にならない人、相場を調べるのが好きな人、梱包や発送などの作業をこつこつ続けられる人。
向いていない人:手元資金に余裕がない人、保管場所を確保できない人、短期間で大きな利益を期待している人。
始める前に確認すること(就業規則・時間・初期費用)
就業規則
勤務先が副業を禁止していないか、届出や許可が必要かを確認しましょう。本業の取引先と競合する商品を扱う場合は、特に注意が必要です。
時間
仕入れのための店舗巡りやリサーチ、出品・発送作業には思った以上に時間がかかります。発送の締め切りに間に合わず評価が下がる、といったトラブルを避けるため、本業と両立できる量から始めましょう。
初期費用
仕入れ代金のほか、梱包資材、送料、販売手数料、古物商許可の申請手数料などがかかります。例えば東京都(警視庁)の古物商許可申請の手数料は19,000円と案内されています(2026年10月時点)。仕入れ代金は「売れなかったら損失になるお金」と考え、生活費や借入金を使わないことが大切です。
始め方の手順
- 扱う商品と販路を決める:自分が相場を理解できるジャンルに絞り、販売先の利用規約(転売や出品禁止物の規定)を確認します。
- 古物商許可が必要か確認し、必要なら申請する:申請先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署です(警視庁の案内)。
- 少量の仕入れで試す:手数料・送料・梱包費を差し引いて利益が残るかを、実際の取引で確かめます。
- 売上・仕入れ・経費を記録する:仕入れの領収書や販売履歴を保存し、売れ残った在庫の数量も把握しておきます。
- 規模が大きくなったら開業届・青色申告を検討する
収入の目安と注意点
せどりの利益は「販売価格−仕入れ値−販売手数料−送料−梱包費など」で決まり、扱う商品や相場の変動で大きく変わります。そのため「月○万円稼げる」と一概には言えません。値下がりや売れ残りで赤字になることもあり、在庫は現金化できるまでお金が寝ている状態です。
また、「このツールを使えば誰でも稼げる」「仕入れ先リストを高額で提供する」といった情報商材・副業サポートにも注意しましょう。国民生活センターは、副業サポートなどの名目で借金をさせる業者についての相談が目立つとして注意を呼びかけています(2026年5月)。借金をしてまで契約しない、不安なときは消費者ホットライン「188」に相談する、を徹底してください。
守るべきルールと法律
古物商許可が必要な場合
古物営業法では、「古物」を一度使用された物品だけでなく、使用されない物品で使用のために取引されたものも含むと定めています(古物営業法 第二条)。つまり、一般の人が使うために買った新品も、取引のうえでは古物に当たる場合があります。古物を売買する営業を営もうとする人は、都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません(同 第三条)。
一方で、自分が使っていた不用品を売るだけであれば、通常は古物営業には当たらないと考えられます。ただし、「転売目的で仕入れて売る」ことを繰り返す場合は許可が必要になる可能性が高いため、迷ったら管轄の警察署に相談しましょう。
許可を受けた後の主な義務
- 古物を買い受ける際は、相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する(同 第十五条)。警視庁は、リサイクルショップでの仕入れやフリマアプリでの取引でも相手方の確認が必要だと案内しています。
- 営業所ごとに管理者を1人選任する(同 第十三条)。
- ホームページ上で、許可を受けた公安委員会名・許可証番号・氏名などを表示する(警視庁の案内)。
- 名義貸しは禁止されています(同 第九条)。
特定商取引法の表示
インターネットで商品を販売することは、特定商取引法の「通信販売」に当たります。通信販売の広告には、販売価格・送料、支払時期と方法、引渡時期、返品に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示することが定められています(特定商取引法 第11条、消費者庁「特定商取引法ガイド」)。返品特約を広告に表示していない場合、購入者は商品の受け取りから8日以内であれば契約の解除ができる仕組みもあります(同 第15条の3)。
転売が禁止・規制されているもの
コンサートやスポーツの入場券のうち、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が明示されているなど一定の条件を満たすものは「特定興行入場券」とされ、チケット不正転売禁止法で不正転売や不正転売目的の譲り受けが禁止されています(文化庁)。そのほか、販売に許可が必要な商品や、販売サイトの規約で出品が禁止されている商品もあるため、仕入れ前に必ず確認しましょう。
収入にかかる税金と確定申告
給与を1か所から受けている会社員の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。せどりの所得は「売上−仕入れ(売上原価)−経費」で計算し、規模や継続性によって雑所得または事業所得に区分されます。
国税庁は、フリマアプリなどを使った個人取引による所得は一般的に雑所得に当たるとする一方、生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税としています(国税庁 No.1906)。不用品の処分と、仕入れて売るせどりとでは扱いが違う点に注意しましょう。
所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税には申告を省略できる範囲がなく申告が必要になると自治体が案内しています(名古屋市など)。また、取引先からインボイス(適格請求書)を求められる場面もあるため、制度の概要は国税庁のインボイス制度のページで確認しておくと安心です。
よくある質問
メルカリでのせどりに古物商許可は必要ですか?
自分の不用品を売るだけなら通常は不要と考えられますが、転売目的で仕入れた商品を継続して売る場合は必要になる可能性があります。判断に迷う場合は管轄の警察署に確認してください。
許可を取ったまま営業しないとどうなりますか?
許可を受けてから6か月以内に営業を開始しない場合などは、許可が取り消されることがあります(古物営業法 第六条)。
せどりで赤字になった場合も申告は必要ですか?
所得がなければ所得税の申告が不要な場合もありますが、状況によって異なります。記録は必ず残し、迷ったら税務署に相談しましょう。
まとめ
せどり・物販は、仕入れ・在庫・相場変動というリスクを伴う副業です。始める前に就業規則と資金の範囲を確認し、古物商許可や特定商取引法の表示、転売が禁止されている商品のルールを守ることが前提になります。「簡単に稼げる」とうたう高額な教材やサポートには注意し、売上と経費をきちんと記録して確定申告・住民税の申告に備えましょう。